2024年11月アーカイブ

先日の11月7日、インドネシアのレウォトビ火山が高さ1万6000mの噴煙を上げて噴火しましたが、この噴火での津波は確認されませんでした。このレウォトビ火山は標高1703mと標高1584mの双子山ですが、地上にあるため、山体崩壊などがない限りはそれほど大きな津波は発生しないのかもしれません。

ただ、気象庁では航空路火山灰情報(VAA)に基づいて、噴煙高度15000m以上の場合には「遠地地震に関する情報」で情報提供される仕組みになっています。

レウォトビ火山の遠地地震に関する情報

便宜上、噴火の際にも地震情報で提供されるようですが、実際には地震が発生していないため、マグニチュードは不明となるようです。

過去のデータでいいますと、噴煙が15000mをこえた回数は2018年に5回、2019年に11回、2020年に5回など、数か月に1回ぐらいのペースとなっています。このうちトンガ噴火では実際に津波が到達しましたので、おそらくは数%程度の確率で津波は到達するものと思います。

いずれにしても、実際に到着しそうな場合には津波警報などが発令されるものと思います。

結局、このレウォトビ噴火は特に問題はありませんでしたが、それ以上に気になったのは、この噴火の4~5時間ほど前、以前から注目していた硫黄島でマグニチュード6.3の地震が発生した点です。

硫黄島でマグニチュード6.3の地震

偶然と考えるには、あまりに発生時間が近いため、何らかの関連性があるのではないかと懸念してしまいます。

通常、火山はその地点のみの事象で、ほかの火山には連動しないというのが定説です。ただ、火山帯の地域で地震が発生したということは、マグマが地上付近まで上昇した可能性もあり、硫黄島でも連動して噴火する可能性もあるのではないかと感じています。

万一、硫黄島でも噴火した場合、近海の海底で発生する可能性もありますし、東京とも距離が近いため、津波が懸念されるところではあります。

しかしながら、レウォトビ火山の噴火と硫黄島の地震が連動して発生したと考えるにはあまりに距離が遠すぎますし、ただの偶然だったのかなと考えてます。謎は深まるばかりですが、硫黄島での火山活動の動きについては、これからも監視体制を強めていきたいと思います。

東京都が11月1日から海底火山の観測を強化するとのことで、これにより噴火予測につながることが期待されています。

東京都のホームページ

2022年1月のトンガ噴火以降、2023年10月には鳥島近海での噴火津波、2024年9月にも海底火山性の津波が発生しましたが、ここ最近は噴火タイプの津波が多くなってきています。

この噴火による津波が発生した場合、一般的な地震による津波とは違い、それほど強くは揺れないため、震源地との距離がある場合には揺れを感じない可能性があります。

その結果として、津波が発生しても気付くのが遅れてしまい、避難行動に大幅な遅延が生じてしまう可能性が考えられます。

そのため、噴火の監視体制を強化することが必要ですが、今回の東京都の試験観測はその一環なのかもしれません。

今回の観測の範囲は、伊豆諸島の伊豆大島から三宅島までとのことなので、かなり日本に近い場所になります。

三宅島

もともと、海底での地震を計測するのは難しいらしく、地震計を海底に設置したのち、それを回収してから計測するため、リアルタイムでの観測は困難です。その点、今回は海底ケーブルを活用するため、コストを抑えてリアルタイムで計測することができるとのことです。

火山活動による海底噴火の場合、マグマが地上に上昇してくるのにつれて地面が揺れたり、ガスの噴出が生じるので、その地震を観測することで噴火の兆候についても把握できる可能性があると思います。

ただ、注目されている2025年7月の予言では、フィリピン海の沖ノ鳥島あたりが震源地とされているので、今回の観測範囲からはかなり遠く離れているのかなという印象があります。

そのため、東京近海の伊豆諸島では事前に兆候を把握できたとしても、遠く離れた小笠原諸島あたりでの海底噴火の兆候を把握することは依然として難しいものと思われます。